「なぜそんな馬鹿げたことを?」
多くの人は、彼の計画を聞いてそう思ったことだろう。
しかし、彼が到達したのは「荒涼としたアイスランドの地で得た途方もないやすらぎ」だった。
5年に渡って大地に裸足で立つ健康法「アーシング」を普及してきた著者が、氷と炎の島「アイスランド」で地球とひとつになった縦断記。絶縁体に囲まれた現代社会で生活する人類に対して、ここにひとつの問いが投げかけられた。
「あなたは、本当に『地球にいる』のですか?」
2017年6月24日──彼は炎と氷の島「アイスランド」をほぼ裸足で縦断するという旅に出た。
多くの者が65歳という年齢を迎えようとしている彼の決意に疑問を呈し、鼻でせせら笑う者もいただろう。
しかし、彼の旅は「自分達の生み出した文明に取り囲まれて堕落した生活をし、地球の息吹や自然の存在を忘れているのではないか」という問いかけを与えてくれるものだった。
この本は、著者であるエハン・デラヴィが33日間常に「内観」をしながらアイスランドを縦断した際の記録である。
この本に書かれている内観に触れて改めて疑問に思うのは、「私達は、ここまで徹底して自分と向き合ったことがあるだろうか?」ということである。
「孤独」という言葉は、多くの現代人にとって好ましくない使われ方をするが──果たして本当にそうなのだろうか?
仮にそうであるならば、何故、かつての聖者や修行者たちは、自らあえて「孤独」になる道を選んだのか?
寡黙になり、心の声に耳を研ぎ澄ますことを選んだのか?
それは、そうすることでしか「真なる内なる声」(神と呼ぶべき存在、或いは地球、もしくは宇宙)と、繋がることが出来ないからではないだろうか?
著者であるエハン・デラヴィはこう語る。
「靴底を覆っているゴムは絶縁体で、大地から取り込まれるマイナス電位を取り込まないどころか、大地という地球の地肌に直接私達が触れることを阻んでしまっている。アスファルト、通信機器、便利な家電品などで覆われ、私達は地球から切り離されている。いわば、誰かが旅行をしたとして『その国を見て来た』と言ったとしても、それは脳内で起きている『映画』を見ているようなもので、実際にその国を見て、聴いて、触れて、体験したわけではない。裸足になって大地に繋がることで、ようやくその国の土壌が包み込む歴史、息吹を感じられる。そうしたものをすべてを体感してこそ『本当の旅』と言えるだろう」
彼が33日間、633kmに渡って体感した「アイスランド」と、そして「エハン・デラヴィ自身の内観の旅」。
脳内の「映画」を楽しむ旅行は幾度となく体験しても、その土地の土壌に繋がり、息吹を感じ、体感するような旅をしたことがない私達現代人には、必須の書である。
エハン・デラヴィ
意識研究家・講演家・作家・世界探検家。アースリング・ファウンデーション代表。1952年スコットランド生まれ。幼少から神秘的な世界にひかれ、22才より日本で生活を開始。流暢でユーモラスな日本語で全国講演をしながら、世界隅々から収集したニューパラダイムに関する情報を伝えている。2013年にアーシングに出逢い、今までアーシング普及活動を続けている。
編集者:篠崎由羅
東洋大学文学部インド哲学科卒。思想・思想史研究家。大学時代より論文・エッセイ・小説を執筆。2010年、徳間書店5次元文庫より「アセンション 真実の完全ガイド」を出版し、インタビュー本や雑誌にてライター活動中。