愉気は、古いけれども新しい、
現代人のまったく知らない人間探求の方法です――
※「はじめに――愉気とはなにか」より抜粋
・病気が治らないという人がいます。
本人の意識は「苦しいのは嫌だ」「はやく病気を治したい」と思っていますが、心の底の無意識下では「自分はこういうものだ」と思ってしまって、それを受け入れてしまっています。その場合、意識的に治そうといくら頑張っていても、人の身体というものは、無意識でそう思ってしまっている通りになっていきます。(中略)
その無意識の方向性や心の持ち方を導いてくれるのが愉気であり、愉気の心です。
・「愉気」という言葉は、整体の創始者、野口晴哉先生の造語です。
それまでも手を当てる行為を指す名称はいろいろあったようですが、野口先生が新しい言葉を作らなければならなかったわけは、その思想を言い表している言葉が存在していなかったからです。世間がまだ知らない思想を表現している言葉などあるはずがありません。
そして、新しい言葉が言葉として人々の間に流通していくのは、そのイメージが共有できたときです。
・この『愉気便り』は、会員の方達に向けて毎月書き送っていたものをまとめたものです。(中略)子どものときから大人たちに教わっていた価値観や世界の見え方が、愉気をするようになってから変わっていってしまったといった僕の視点を通して、愉気をしていくとどういうことが起こるのか、道場で実際に起きている出来事を知ってほしくて書いていました。
僕たちが整体の仕事をしている上での役割というものは、この愉気という言葉に込められた意味をどれだけ見つけて取り出して人に伝えることができるかということだけだと思うのです。
高麗川のほとりにある自然健康道場 安井整体には、
現代医療とは別の方法でいのちと向き合うことを選んだ人々の姿があります。
生老病死に愉気で関わる整体道場での出来事を入り口に、
《野口整体でみる心と体》について綴ったエッセイ集。
物語に愉気をのせて。第1巻/全56編収録
治療ではなくて愉気
赤ちゃんへの愉気
子どもの病気と成長
自然な出産
病気になれる力
腰痛がおわるとき
臓器の摘出
思い込みがつくるもの
岡島瑞徳先生を偲んで
潜在意識
生まれ変わるということ
父の脳梗塞
摂食障害を知る
気絶した足に気を通す
子どもへの愉気と体癖
ママ、ぼくをみて
家族を看取る
心の整理
初潮の迎え方
連続する命
父の死
古傷を呼び起こす ~他
安井誠(やすい まこと)
1963年東京生まれ。
自然農法で農業を営みながら作物の生命力を高めることを模索しているときに、
野口整体の思想に出会い岡島瑞徳師に師事。現在は農作業はしていない。
趣味はクラシックギター。
安井州子(やすい しゅうこ)
1960年和歌山生まれ。紀伊半島先端の漁師町で育つ。
NHKアナウンサーを経て自由の森学園で体育教師となり、
そこで心と体に辛さを抱える多くの若者に出会い療術を志す。
教師を退職して岡島瑞徳師に師事。特技は竹山流津軽三味線。