音楽、宗教、身体、癒し――
「倍音」という声の神秘に、人類は何を聴いてきたのか?
チベットからトゥバ、現代音楽からサウンド・ヒーリングまで
音と声が導く、“響き"の世界史。
民族音楽学者であり声楽家でもある著者が、数十年にわたるフィールドワークと演奏経験を経て、人間の声に秘められた「倍音」の宇宙を、文化・歴史・科学・精神性の全方位から徹底的に解き明かす!
【主な内容】
第1部:音の物理学|声に宿る「もうひとつの音」の正体
なぜ、人は一度に二つの音を出せるのか?口の形、共鳴、フィルターとしての喉……。「倍音」のメカニズムと、基本テクニックを詳しく解説。
第2部:東アジアの伝統|精霊と交信する神秘の歌声
世界を驚愕させたトゥバの喉歌(ホーメイ)の真実。大地の精霊とつながり、自然を模写する音の芸術。チベット仏教の聖なるマントラから、モンゴルの大草原に響く調べまで、数千年の歴史に刻まれた祈りの声を巡る。
第3部:西洋音楽の革新|現代音楽と倍音の邂逅
シュトックハウゼンからラ・モンテ・ヤングまで。伝統的な歌唱の域を超え、前衛芸術として進化した「倍音」の表現を解説。女性先駆者たちの挑戦と、現代のボーカル・テクニックが切り拓く新たな音楽的領域。
第4部:形而上学|ヒーリングの科学
音はどのように心身を癒すのか?ピタゴラスの宇宙観から、サイマティクス(音の可視化)、最新の音響セラピーまで。身体と宇宙の共鳴メカニズムを解き明かし、意識の変容をもたらす「音の力」の本質に迫る。
第5部:真髄|音楽的相対性理論と未来の響き
科学、芸術、そして自己の真髄。超弦理論が示唆する音楽の新たな交差点とは?伝統と現代性を融合し、音の普遍性を探究してたどり着いた「大いなる領域」。
マルク・ファン・トンヘレン(Mark van Tongeren)
芸術、科学、瞑想の伝統が相互に作用する可能性に関心を寄せる音の探究者。演劇、音楽、ダンスのプロダクションにおいて30年の経験を有し、ライデン大学にて芸術研究の博士号を取得。民族音楽学者として、シベリア、台湾、コルシカ、チベットなどの先住民族の音楽を研究。その活動は世界各地の伝統音楽を吸収・融合し、さらなる高みを目指している。